「自分の仕事にもAIを取り入れてみたいけど、何から始めればいいかわからない…」
「画像生成とかで遊んでみたけど仕事にどう使えばいいのか想像できない」
そう感じていませんか?巷で話題の生成AIですが、無料で使えるサービスが増えた一方で、「専用AIシステムとかじゃなくて、今すぐ使えるAIサービスを自分の仕事にうまく活かすには?」という疑問を持つ方も多いはず。
この記事では、企業で生成AIの推進を担当する筆者が、教員の方向けに明日から試せる、具体的な生成AIの活用アイデアを提案します。
私自身は教員の経験がないため、あくまで「こんな使い方ができるかも?」というアイデアとしての紹介になります。普段の業務で見えてきたAIの特性と、調査してわかった一部の業務内容を照らし合わせながら、皆さんの毎日が少しでも楽になるヒントをお届けできれば幸いです。
この記事では、明日から試せる生成AI活用法を具体的に紹介しています。
実は文部科学省もAI活用を推進しています。以下は、記事で紹介している活用アイデアです!
🆕 新任・若手教員向け
- ChatGPTで指導案の「型」を作成
例:「小数のしくみ」1時間目の学習指導案を作成してください - 教材研究のヒント出しにも活用
例:「天気の変化」単元で理解しづらいポイントと説明方法を教えて - Grokで現役教員の投稿を調査
例:X上の「小数」授業の工夫事例を収集
📘 中堅教員向け
- ChatGPTで研究授業の構成案を作成
例:「竹取物語」3時間目の全体構成を提案してください - 詳細な授業展開も段階的に生成
例:活動内容、時間配分、生徒の反応も含めて展開案を作成 - Grokで他校の研究授業事例を調査
例:効果的な指導法や教材の工夫を探す
💼 ベテラン教員向け
- ChatGPTで共通資料や汎用ドキュメントを効率作成
例:保護者懇談会資料、学級通信案など - Grokで教育トレンドを効率チェック
例:プログラミング教育の最近の話題を調べる - ChatGPTで教科横断的な改善案も生成
例:理科の安全指導チェックリストを作る
🔁 ChatGPTとGrokの使い分けのコツ
- ChatGPT:指導案作成、授業展開案、評価基準の整理など
- Grok:リアルタイムな指導事例・トレンド調査
💡 おすすめ活用例
- ChatGPTに「全国の〇〇に関するルール」を調べてもらえば、他校の取り組みが一括で分かる
- 調べた情報は提案資料にも活用可能
🛡 使うときの注意点
- 個人情報や機密情報はAIの「学習オフ」設定必須!(設定手順あり)
まず知っておきたい!文部科学省もAI活用を推進中
「学校でAI使って大丈夫なの?」と心配な方もいるかもしれませんが、実は文部科学省が公表した「生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver. 2.0)」では、「授業準備や各種文書のたたき台作成を含む校務において利活用することで、校務の効率化や質の向上等、教職員の働き方改革につなげていくことが期待される」と明記されています。
(13ページ「3-1.教職員が校務で利活用する場面」の「(1)基本的な考え方」より)
つまり、もう「使っちゃダメ」じゃなくて「積極的に使おう」という方向に変わってるんです。
今回紹介する生成AIって?
「ChatGPT(チャットジーピーティー)」と「Grok(グロック)」、どちらも最近よく聞く生成AIサービスですが、実はそれぞれ得意なことが違います。
💬 ChatGPT(OpenAI)
OpenAIという会社が開発した対話型AIで、幅広い質問に答えてくれるのが特徴です。ドット絵風の画像生成などでよくSNSでみかけるあのAIです。
たとえば、資料のたたき台を作ってもらったり、アイデア出しの壁打ち相手になってもらったり、情報整理を手伝ってもらったりと、日々の仕事をちょっとラクにしてくれる便利な存在です。
▶️ ChatGPT公式ページ
iPhone app:https://apps.apple.com/jp/app/chatgpt/id6448311069
Android app:https://play.google.com/store/search?q=ChatGPT&c=apps
📱 Grok(xAI)
Grokは、X(旧Twitter)の創業者イーロン・マスク氏が立ち上げたxAI社が開発した生成AIです。「Ani」ちゃんでよく聞くようになった方もいるのでは?
最大の特徴は、X上のリアルタイムな投稿を検索・参照できること。SNS上の「今の声」や「空気感」をもとに情報を集めたり、分析したりするのが得意で、マーケティングやトレンド把握にも活用できます。
▶️ Grok公式ページ
iPhone app:https://apps.apple.com/jp/app/grok-%E7%94%9F%E6%88%90ai/id6670324846
Android app:https://play.google.com/store/apps/details?id=ai.x.grok
時間がかかってしんどい内容をAIで解決できるかもしれません
教員の皆さんから聞こえてくる声を調べてみると、本当に大変な状況が見えてきました:
- 指導案作成がとにかく細かくて時間がかかる
研究授業の指導案が「劇のセリフみたいにびっしり」書いてあるのに、実際は子供の反応に合わせて柔軟に変えなきゃいけない - 教材研究の時間が全然取れない
小中学校教員の半数が正規の勤務時間内に「15分未満」しか教材研究できていない - 授業準備で持ち帰り仕事が当たり前
「授業の準備をする時間が足りない」と感じている声がいくつか…
教員をしている複数の友人の話を聞いていた内容と同じような内容がヒットしました。夜遅くまで指導案書いて、休日も教材研究して…。でも、AIを使えばこの状況を少しでも改善できるかもしれません。
教員の働き方別・AI活用プラン
新任・若手教員編:「何から手をつけていいかわからない」を解決
こんな悩みありませんか?
- 指導案の書き方がわからなくて、先輩も忙しそうで聞くのも申し訳ない
- 教材研究って何をどこまでやればいいの?
- 授業の流れを考えるのに時間がかかりすぎる
ChatGPTで基本の「型」を作ってもらおう
ChatGPTは、指導案の基本構成や授業展開案の「たたき台」を作るのがとても得意です。ゼロから考えるより、まず型を作ってもらって、そこから自分なりにアレンジする方が効率的ですよ。
具体的なプロンプト例:
小学校4年生の算数「小数のしくみ」の1時間目の学習指導案を作ってください。
- 目標:小数の意味を理解する
- 時間:45分
- 学習活動の流れ(導入・展開・まとめ)
- 指導上の留意点
- 評価規準
を含めて、初任者でもわかりやすい形でお願いします。
教材研究のスタートにも使える:
中学校2年生の理科「天気の変化」単元で、生徒が理解しにくいポイントとその解決方法を教えてください。また、身近な例を使った説明方法も提案してください。
Grokでリアルな声をチェックしてみる
Grokは、イーロン・マスクが設立したxAIが開発した対話型AIで、ChatGPTのような生成AIサービスです。最大の特徴は、X(旧Twitter)の投稿をリアルタイムで検索・参照できることなんです。
小学校4年生の算数:小数について、X上で先生たちがどんな工夫や苦労を投稿しているか調べて、授業のヒントになりそうな情報を教えて
中堅教員編:「研究授業の準備で死にそう」問題を解決
こんな状況じゃないですか?
- 研究授業の指導案が細かすぎて、作成に何時間もかかる
- 他の業務もあるのに、指導案に時間を取られすぎる
- 参観者に見せる資料も作らなきゃいけない
ChatGPTで段階的に指導案を作成
いきなり完璧な指導案を作るのは大変かもしれません。まずはAIで骨組みを作ってもらって、段階的に詳しくしていく方法がおすすめです。
Step1:全体構成を作ってもらう
中学校1年生の国語「竹取物語」の研究授業用指導案の構成を考えてください。
- 単元名、単元の目標
- 本時の位置づけ(全8時間中の3時間目)
- 本時の目標
- 展開の概要(導入・展開・終末)
参観者にも伝わりやすい構成でお願いします。
Step2:詳細な展開案を作成
先ほどの「竹取物語」3時間目について、詳細な授業展開案を作ってください。
- 学習活動と時間配分
- 教師の支援・指導上の留意点
- 生徒の反応を想定した対応
- 評価のポイント
を含めて、45分授業の流れを具体的に示してください。
Grokで最新の指導法をリサーチ
中学校の国語:竹取物語の授業に関する最近のX投稿を調べて、効果的だった指導方法や教材の工夫点を教えて
ベテラン教員編:「効率化して本当に大切なことに時間を使いたい」
こんな思いありませんか?
- 指導案は慣れてるけど、毎回同じような作業の繰り返しがもったいない
- 若手の指導にもっと時間をかけたい
- 新しい教材や指導法の情報収集が追いつかない
ChatGPTで学年共通資料を効率作成
小学校5年生向けの保護者懇談会資料の構成を考えてください。
- 夏休みの過ごし方
- 高学年としての心構え
- 家庭学習のポイント
- よくある質問への回答
学年全体で使えるような汎用性のある内容でお願いします。
Grokで教育界のトレンドをキャッチ
小学校のプログラミング教育について、最近X上で話題になっている実践例や課題を調べて、今後の指導に活かせそうな情報をまとめて
教科指導の改善案作成
理科の実験で安全指導を徹底するための具体的な方法と、実験前後の確認チェックリストを作成してください。小学校3~6年生まで使える内容でお願いします。
ChatGPTとGrokの使い分けのコツ
今回ご紹介したAIは「ChatGPT」と「Grok」です。それぞれのおすすめ使い分けをご紹介します。
ChatGPT(文書作成・教育システム・他校事例調査)
- 指導案の作成
- 授業展開案の提案
- 学級通信の構成案
- 評価規準の整理
- 他校の取り組み事例の調査
Grok(情報収集・リアルタイム調査)
- 最新の指導法の調査
- 他校の実践例の収集
- 教育関連のトレンド把握
- 現場の先生たちのリアルな声の収集
特にオススメ!ChatGPTで他校のルール・取り組み事例を調べる
法律が変わったときの対応方法を調べたり、例えば「うちの学校の熱中症対策ルール、ちょっと現実的じゃないな…」と思った時など、人力でGoogle検索すると時間がかかりますよね。
でもChatGPTなら:
具体的なプロンプト例:
小学校の熱中症対策ルールについて、全国の学校でどのような基準や対応方法を採用しているか調べてください。特に、体育授業や屋外活動の中止基準、水分補給のタイミング、具体的な対応事例も含めて教えてください。
こんな感じで投げかけると、複数の学校の事例を調べて、具体的な温度基準や対応方法、実際の効果まで教えてくれます。情報源のリンクも提示してくれるので、「これ良さそう!」と思ったら元の資料を確認して、上司への提案資料として使えます。
他にもこんな場面で使えます:
中学校の部活動における熱中症対策で、効果的だった取り組み事例を教えてください。特に、部活動時間の調整や水分補給の工夫について、具体的な事例をお願いします。
小学校の登下校時の安全対策について、全国の学校で実施されている工夫や取り組み事例を調べてください。交通安全や不審者対策の両面から教えてください。
人力だと何時間もかかる調査が、数分で完了しちゃいます。
AIをうまくつかい時間を生み出して、本当に大切なことに集中を
AIを使って指導案作成や授業準備の時間を短縮できれば、今まで時間がなくて手が回らなかったことに時間を使えるようになります。
- 子供たち一人ひとりとの対話時間
- 教材の工夫や改良
- 学級経営の充実
- 自分自身の学び直しの時間
AIを使ってうまく効率化した結果、本当に人間の、教員のみなさんにしかできない部分に力を注げるようになります。
使う前に知っておきたい注意点
AIを仕事で使う時に、一番気をつけたいのが情報の扱いです。
「便利だから」といって、児童生徒の個人情報や学校内の機密事項をそのままChatGPTに入力しちゃうのは危険かも。設定によっては、その情報がAIの学習に使われてしまう可能性があるんです。
でも大丈夫!ちゃんと設定すれば安全に使えます。
AIを「学習オフ」にする方法
- 設定画面を開く
- ログインしたら、自分のアイコンをクリック
- 「設定」を選択
- データの使われ方を変更
- メニューの「データ」「データコントロール」をクリック
- 「モデルの改善」という項目を見つける
- これをオフにして「実行」「保存」
以下の画像のように設定できていれば完了です!
ChatGPT:

Grok:

設定さえちゃんとすれば、安心してAIを活用できますよ。
まとめ:小さな一歩から始めてみませんか?
正直、最初は「AIなんて難しそう」「気合いでなんとか回せる」と思うかもしれません。でも、一度使ってみると「あ、これ結構使えるじゃん」って感じると思うんです。
完璧を目指さず、まずは一つの指導案作成や一つの教材研究から試してみてください。そこで浮いた30分、1時間を、子供たちとの大切な時間や、本当にやりたかった教育活動に使えたら素敵ですよね。
AIは魔法の道具じゃありませんが、使い方次第で皆さんの毎日を少しでも楽にできるツールです。教員の皆さんが、本来の教育という素晴らしい仕事により集中できるよう、ぜひ一度試してみてください。ヒントになりましたら幸いです!