近年、AI技術の進化とともに、情報収集や検索におけるChatGPTの活用が広がっています。特に、ChatGPTの検索機能は時間経過とともに大きく発展し、従来の制約を克服するための新機能が次々と追加されています。ここでは、ChatGPTの検索機能に興味がある方へ、従来の検索機能の概要と、新しい検索機能「ChatGPT search」について解説します。
ChatGPTの検索機能について簡単にご紹介します。
- 従来の制約：リアルタイム情報が得られなかったため、最新のニュースや株価などの情報には対応できなかった。
- ブラウジング機能導入（2023年5月）：インターネットから最新情報を取得可能に。
- ChatGPT searchの登場（2024年10月）：リアルタイム検索がさらに強化され、参照元リンクや検索結果も提供。
- 使い分けのポイント
- 従来のChatGPT：普遍的な情報に適している。
- ChatGPT search：リアルタイム情報に強い。
- 効果的な使い方：質問を具体的に設定し、参照元を確認し、従来機能と組み合わせて活用する。
ChatGPT検索機能の背景と進化
もともとChatGPTは、インターネットから直接情報を取得する機能を持たず、トレーニングデータとして用意された特定時点までの情報に依存していました。
重要な特徴として、トレーニングデータの「カットオフ」という概念があります。最新の情報や動的なデータにアクセスすることができなかったため、ニュースや株価、天気予報など、時間に敏感なトピックについては正確な回答を提供できないという制約がありました。このデータの「カットオフ」と呼ばれる制約により、ユーザーはAIが知らない最新の事柄については他の情報源を提示する必要がありました。
こうした制約を克服するため、OpenAIは2023年5月にChatGPTに「ウェブブラウジング機能」を追加しました。このブラウジング機能により、ChatGPTはインターネット上の最新情報を検索し、ユーザーの質問に対してタイムリーで正確な回答を提供できるようになりました。ユーザーが最新のニュースやイベントについて質問すると、ChatGPTがインターネット上で情報を検索し、その結果を基に回答を生成することが可能となったのです。従来の検索機能における制約は以下の通りです。
カットオフとリアルタイムデータの欠如
従来のChatGPTは、インターネットから直接情報を取得できない仕組みになっており、トレーニングデータに依存するため、特定の時点までの知識のみで回答を行っていました。このため、ニュースや株価、天気予報、スポーツの試合結果など、変動する情報を提供することが難しかったのです。
ブラウジング機能の限定提供
当時、一部のユーザーには「ブラウジング」機能が提供されましたが、この機能も全てのユーザーが利用できたわけではありません。また、情報アクセスの範囲が制限されていることがあり、あらゆる情報が得られるわけではありませんでした。
プラグインの活用による機能拡張
ChatGPTは外部のプラグインやAPIと連携し、データベースや専門情報にアクセスすることで機能拡張も可能でした。ただし、これには技術的な知識や設定が必要で、一般ユーザーにはややハードルが高いとされていました。
ChatGPT searchの登場とその進化：リアルタイム検索機能の概要
2024年10月末、OpenAIはさらに進化した新機能「ChatGPT search」を発表しました。ChatGPT searchは、ブラウジング機能をさらに強化し、ChatGPTがリアルタイムで情報を取得できるようになっています。特に、従来の制約を超え、最新の情報や出来事に対応できる点で、非常に革新的な進化を遂げました。
2024年11月時点で、Plus版、Team版、Enterprise版のユーザーはこの機能を利用できます。
参照：https://openai.com/index/introducing-chatgpt-search/
リアルタイム情報取得の強み
ChatGPT searchでは、トレーニングデータのカットオフに依存することなく、インターネットから最新情報を収集し、即座に回答を生成できます。これにより、スポーツ試合の結果や株価の変動、天気予報などのリアルタイム性が求められる情報や、ChatGPTが学習していない内容も参照のうえ出力できるようになり、従来機能と比べて大幅に利便性が向上しています。
情報源の明示による信頼性向上
ChatGPT searchでは、回答に参照元リンクとして検索結果と引用元が提示されるため、ユーザーが信頼性を確認しやすくなっています。必要に応じてリンクから詳細を確認することも可能です。
ChatGPTの活用法：従来機能とChatGPT searchの使い分け
ChatGPTには従来の学習範囲での機能とChatGPT searchがあるため、ユーザーは質問の種類や目的に応じて最適な方法を選べます。以下にそれぞれの活用法を紹介します。
従来のChatGPT機能を使う場面
従来のChatGPTの出力は、歴史的な情報、普遍的な知識、基本的な概念や学習内容に関する質問に向いています。トレーニングデータに基づく知識のため、時間経過に影響されない内容や、学術的な情報が求められる場面での利用が適しています。例えば、歴史的な出来事、科学の基礎理論、心理学の基本的な理論などの質問に対し、従来のChatGPTは適切な回答を提供します。
ChatGPT searchを使うべき場面
ChatGPT searchは、最新ニュース、マーケットの動向、イベント情報、天気や交通状況といったリアルタイム情報を必要とする質問に特に有用です。例えば、「現在のアップルの株価」や「今夜の東京の天気」、「昨晩のサッカー試合の結果」など、時間依存性の高いトピックに関する質問は、ChatGPT searchを活用することで即座に正確な回答が得られます。
ChatGPT検索機能の活用における注意点とコツ
効果的に使い分けるためには、いくつかの注意点とコツを押さえておくことが重要です。
質問を具体的に設定する
ChatGPTは、ユーザーが質問を具体的にすればするほど、より的確な回答を提供しやすくなります。例えば、単に「気温」と質問するのではなく、「現在の東京の気温」や「来週のニューヨークの気温予測」など、特定の場所や時期を指定することで、ChatGPTの回答がより正確になります。
参照元リンクの確認
ChatGPT searchの回答には参照元リンクが含まれるため、回答の信頼性を直接確認することが可能です。重要な判断を行う場合には、参照元リンクを確認し、情報の正確性や信頼性を裏付けましょう。また、複数の信頼できる参照元を確認することで、情報の精度がさらに高まります。調査する内容によっては参照元サイトに偏りがある場合があるためよく確認しましょう。
複数の機能を組み合わせる
ChatGPTの従来機能とChatGPT searchの2つの機能をうまく組み合わせることで、最新情報と基礎的な知識の両方を活用できます。例えば、最新のニュースをChatGPT searchで確認し、それに関連する理論や歴史的背景については従来のChatGPT機能で補足・理解するといった使い分けが有効です。
ChatGPT searchの具体的な使用例
ChatGPT searchは、日常生活やビジネスシーンにおいて、最新の情報を自分が理解しやすいように取得するための強力なツールです。この機能を活用することで、従来の検索方法よりも効率的かつ効果的に情報を得ることも可能になります。以下では、具体的な使用例をいくつかご紹介します。
テクノロジーニュースの最新情報収集
例えば、最新のAI技術に関する情報を知りたいと思った時、ChatGPT searchを使って、「2024/11/08のAI技術に関する最新のニュースを教えて」と質問することができます。すると、ChatGPTはインターネット上からリアルタイムなニュースを収集し、あなたにわかりやすくまとめて提供してくれます。さらに、ニュース元のリンクも一緒に表示されるので、より詳細な情報が必要な時にはそのサイトに直接アクセスして内容を深掘りすることができます。まるで最新のニュースを常に追えるパーソナルアシスタントがいるような感覚で使えます。
旅行計画のための天気情報取得
例えば、来週にパリ旅行を予定しているとします。そんな時には、「来週のパリの天気予報は？」とChatGPTに聞くだけで、最新の天気情報をすぐに得ることができます。「晴れなら軽めの服を準備して、雨の可能性があるなら傘も持っていこう」といった感じで、旅行の準備がスムーズに進められるのです。
また、そのままChatGPTに対して、「検索してでてきた天気を踏まえて、旅行の計画を立てて」と指示することで、最新の天気予報を元にした旅行計画が簡単に立てられます。
日常生活での便利な情報取得
さらに、例えば友達とディナーの計画を立てていて、「今夜の渋谷近辺で評判の良いレストランは？」と尋ねると、ChatGPT searchを使って最新のレストラン情報やレビューを収集し、おすすめの場所をいくつか紹介してくれます。これにより、急な予定変更にも柔軟に対応でき、友人たちとの楽しい時間を過ごすためのサポートが得られます。まるで地元に詳しいガイドがそばにいるような安心感です。
今後のアップデートへの期待
2024年11月8日時点で、ChatGPTsearch機能はカスタムGPTsには対応していません。また、無料ユーザーへの提供もまだです。しかし、OpenAIは今後もChatGPTの機能改善と拡張を進めていくことが予測されます。ChatGPT searchの進化に伴い、ユーザーインターフェースのさらなる改善や、対応範囲の拡大が進むことで、さらに多くのユーザーが使いやすい検索機能になることが期待されます。また、情報取得元の選択肢が増えることで、特定の分野に特化した詳細な情報提供も実現する可能性があります。
結論
ChatGPTの検索機能は、従来の制約を超えた新しいChatGPT searchの導入により、リアルタイム性と信頼性が格段に向上しました。歴史的・理論的知識と最新情報の双方を効率よく取得するために、従来のChatGPTの機能とChatGPT searchを使い分け、最適な情報収集が可能です。これにより、ユーザーは必要な情報を的確に得ることができ、より効果的な意思決定や学習、リサーチを行えるようになるでしょう。
