こんにちは!Zenken AI部門の岡田です。
2025/04/24に出させていただいたプレスリリース(Zenken、ChatGPT Enterprise全社員導入で年5,000万円の外部委託費用削減を実現!)の具体的な事例の第二弾として経理部の成果事例を公開いたします。定量的な目標設定の目安にもご活用いただけるのではないでしょうか。
ChatGPT Enterpriseのバックオフィスにおける事例は数少ないため、参考になりましたらシェアを是非お願いいたします。
事例1: 会計処理の効率化と精度向上
導入前の課題:会計処理の判断が必要な場面が多く、上司への相談や専門書の確認に時間を要していた。会計基準や税法などの専門文書は独特の言い回しや複雑な表現が多く、読解に時間がかかっていた。
導入後の変化:導入後、経理部門では会計処理の検討時に「公認会計士への質問」プロジェクトを作成し、判断に迷った際にまずChatGPTに相談するようになった。これにより新規案件の処理速度が倍以上に向上し、上司への相談時間が大幅に削減された。会計基準をわかりやすく翻訳してもらい、壁打ち相手として活用することで、より整理された状態で上司に相談できるようになり、上司の業務負担も軽減された。専門文書の要約や平易な表現への置き換えも可能になり、より効率的な業務遂行が実現した。最終判断の際には必ず裏取りをするが、ChatGPTから得られる回答には大きな誤りはほとんどなく、上司の時間を節約できるようになっただけでなく、担当者自身の会計知識の向上にも役立っている。
事例2: 情報検索・調査の変革
導入前の課題:専門用語や業務知識を調べる際にGoogle検索を使用していたが、完全に一致する情報が見つからないことも多く、情報収集に時間を要していた。
導入後の変化:導入後、従業員の情報検索行動がGoogle検索からChatGPTへと大きく移行した。活用例や類義語との違いも併せて質問できるようになり、より素早く、記憶に残りやすい形で情報を得られるようになった。特に法令や業界規定などの制度情報の検索・分析が容易になり、制度調査や情報収集の時間が大幅に短縮された。担当者が短時間で最適な情報を得られるようになったことで業務効率が向上した。会計や法令関連の調査では、ChatGPTの高い自然言語解析能力を活用し、要点を押さえた内容を短時間で把握できるようになり、調査業務における生産性が大幅に改善された。また、検索の際に「どのような調べ方をすれば良いか」という方向性も得られるため、より効率的な情報収集ができるようになった。
事例3: マニュアル・社内規定のナレッジ化
導入前の課題:新しいシステムやツールを使う際、マニュアルを読むのが負担だった。社内規定や内線番号などの情報を探すのにも時間がかかっていた。
導入後の変化:導入後、新しいシステムやツールのマニュアルの内容をナレッジ化し、専用のGPTsを作成することで、社内情報へのアクセスが劇的に改善された。特に麻布台ヒルズオフィスの社内規定や内線番号などの情報をまとめたGPTを作成して活用することで、従来は探すのに時間がかかっていた情報に瞬時にアクセスできるようになった。チャット形式で質問できるようになり、従来のマニュアル検索よりも効率よく不明点を解消できるようになったことで、ITツール学習コストが低減し、システム操作性の向上につながった。これにより業務全般のスピードアップが実現し、新しいシステムやツールの導入障壁が下がり、社内での技術適応が加速した。
事例4: クリエイティブ思考と問題解決の支援
導入前の課題:アイデア出しや問題解決の際、ゼロから考えるのに時間がかかり、発想が限られていた。業務上の課題に対する新しい視点や解決策を得るのが難しかった。
導入後の変化:導入後、アイデア出しや問題解決のプロセスが大きく変化した。アイデアが必要なときにChatGPTに状況を説明し、発想を広げてもらうようになり、業務上の課題について相談することで新しい視点や解決策を得るためのブレインストーミングツールとして積極的に活用されるようになった。ゼロから考えるよりも、ChatGPTから得られた提案が試金石となることで発想しやすくなり、よりクリエイティブで多様なアイデアが生まれやすくなった。特に時間的制約がある中でも効率的にアイデアを出せるようになり、問題解決までの時間が大幅に短縮された。これにより、従来は時間をかけて行っていたブレインストーミングセッションが短時間で成果を出せるようになり、創造的業務への時間配分が改善され、より質の高いアウトプットが生み出せるようになった。
事例5: Excel業務の効率化
導入前の課題:Excel関数の作成時にネット検索で該当するブログ記事などを探していたが、完全に一致する情報が見つからない場合、どのように調べればよいか分からず、時間を費やしていた。
導入後の変化:導入後、Excel業務の効率化が大きく進んだ。「セルA2でこの計算をしたい」「B列の数字をこうやって集計したい」など具体的に質問すると、ChatGPTが実際にExcelで使える形で関数を即座に作成してくれるようになり、関数作成の調査時間と作成時間が大幅に短縮された。Excel関数の提案や計算の依頼に広く活用されるようになり、これまで複雑な関数を作るために何度もネット検索をしていた手間が省かれた。さらに、VBAを活用することで、大まかなコードから整理や高速化の提案を受け、より効率的なスクリプトを作成できるようになった。これによりデータ処理や集計作業の効率化が実現し、業務時間が大幅に短縮されただけでなく、Excelスキルの向上にもつながっている。特に従来は専門的なスキルが必要とされていた複雑な関数やVBAコードの作成が、一般社員でも短時間で実現できるようになり、部門全体のデータ処理能力が向上した。
事例6: コミュニケーション効率化
導入前の課題:適切な言葉選びや文章構成が難しく、メールやチャット返信に時間がかかっていた。特に伝え方に気を遣う場面では、どのように表現すればよいか迷うことが多かった。
導入後の変化:メールの添削によりフォーマルなメールを素早く作成
「受信したチャット」と「どのように返信したいか」「重要なポイント」などを伝えることで的確な文章を作成
自分では言葉にしにくい内容を整理できるようになった
具体的エピソード:ChatGPTに「受信したチャット」と「どのように返信したいか」「重要なポイント」などを伝えることで、的確な文章を作成してもらえるようになった。その結果、返信作成の時間が短縮されただけでなく、自分では言葉にしにくい内容を整理できるようになり、文章力の向上にもつながっている。
事例7: 業務の並行処理による効率化
導入前の課題:調べものをしている間は他の作業ができず、一つ一つのタスクを順番に処理する必要があった。
導入後の変化:調べものと作業を同時進行できるようになった
ChatGPTに調査や集計の手伝いを任せることで、その間に別の業務を進められるように
複数のシステムやツールを行き来していた作業が簡略化
定量的成果:ChatGPTがデータを整理する5分の間に別の作業を進めることで、効率的に業務を遂行。残業時間の削減。
具体的エピソード:以前は、調べものをしている間は他の作業ができなかったが、ChatGPTに調査や集計の手伝いを任せることで、その間に別の業務を進められるようになった。例えば、ChatGPTがデータを整理する5分の間に別の作業を進めることで、効率的に業務を進められるようになった。
ChatGPT Enterprise導入効果分析レポート
1. 工数削減の定量的効果
主要業務における工数削減実績
業務内容 | 導入前 (月間時間) | 導入後 (月間時間) | 削減時間 | 削減率 |
会計処理検討 | 20時間 | 3時間 | 17時間 | 85% |
制度調査 | 40時間 | 10時間 | 30時間 | 75% |
文章形成 | 1時間 | 0時間 | 1時間 | 100% |
研修メモまとめ | 1時間 | 0時間 | 1時間 | 100% |
業務フロー構築 | 3時間 | 0.5時間 | 2.5時間 | 83% |
チャット文章・連絡書の書き起こし | 1.5時間 | 0.25時間 | 1.25時間 | 83% |
専門用語検索 | 1時間 | 0.25時間 | 0.75時間 | 75% |
エクセルを用いた集計作業 | 1.5時間 | 0.5時間 | 1時間 | 67% |
部署費用按分作業 | 1時間 | 0.5時間 | 0.5時間 | 50% |
長文・複雑なチャットの読解 | 1時間 | 0.5時間 | 0.5時間 | 50% |
会計処理や関数作成等の調べもの | 3時間 | 1.6時間 | 1.4時間 | 47% |
経理部業務全般 | 180時間 | 160時間 | 20時間 | 11% |
総括
- 平均工数削減率:69%(個別業務ベース)
- 総工数削減率:30%(全業務の総時間ベース)
- 主要な工数削減ポイント:
- 会計処理検討や制度調査など、専門知識が必要な作業において大幅な時間短縮を実現
- 文章作成や資料作成に関連する業務でほぼ100%の工数削減が見られる
- 検索や情報収集の効率化により、多くの業務で50%以上の工数削減
- 最高削減効果を示した業務:文章形成、研修メモまとめ(100%削減)
- 最低削減効果を示した業務:経理部業務全般(11%削減)
- 注:経理部全体としては11%の削減だが、個別タスクでは50%以上の高い削減効果が見られる
2. 生産性の変化
生産性向上の実感度
- 「1.5倍(工数を約33%削減)」と回答:50%
- 「変化を感じない(同程度)」と回答:37.5%
- 「3倍」と回答:12.5%
考察
回答者の62.5%が生産性向上を実感しており、特に専門的な調査業務や文書作成を多く行う社員において効果が高いことがわかります。一方、約4割の社員は生産性向上を実感できていないことから、部署や業務内容によって効果の差があると考えられます。また、「変化を感じない」と回答した社員の中には、ツールの使い方を模索中であることが記述されており、今後の教育や事例共有によって効果が高まる可能性があります。
3. 定着した利活用方法
業務効率化・調査支援
- 情報検索・調査の効率化
- 専門用語の検索(Googleの代わりにChatGPTを活用)
- 会計基準や法令などの専門文書の読解・整理・理解
- 社内規定や内線番号などの情報検索用GPTsの活用
- 業務支援・効率化
- 会計処理の検討(上司相談前の活用で時間節約)
- マニュアルGPTの作成(チャット形式で質問可能)
- 文書作成・編集サポート
- データ整理・分析サポート
- Excelの関数提案・計算依頼
- Excel業務の自動化と効率化
- コミュニケーション支援
- 上司に相談に行く前の壁打ち・考えのまとめ
- 英語の翻訳
- チャット返信の作成支援
クリエイティブサポート・発想支援
- アイデア出し(状況説明して発想を広げる)
- 発想支援・問題解決(ブレインストーミングツール)
4. 業務負荷の変化
業務負荷の軽減
- 時間短縮による効率化
- 会計処理の検討時間短縮、新規案件の処理速度が倍以上に向上
- メール作成時間の短縮
- チャット返信の作成短縮
- 残業時間の削減
- 業務の質と効率の向上
- 調べものと作業の同時進行が可能に
- 上司への相談減少による上司の業務負担軽減
- システムの利用効率向上(複数のシステムやツールを行き来する作業の簡略化)
- 決算や財務データの分析精度向上と時間削減