「ChatGPTってファイルアップロードできるの?」「チャットするだけじゃないの?」そんな疑問を持つあなたにぴったりのストーリーをご用意しました。
新人ミライが先輩に教わりながら、AIが大量の資料を瞬時に解析する驚きの機能を体験。あなたも彼と一緒に、仕事を変える「魔法」を体験してみましょう!
項目 | ChatGPT 無料プラン | ChatGPT Plus | ChatGPT Enterprise |
---|---|---|---|
ファイルアップロード機能の有無 | ◯ 利用可能(ただし制限が大きい) 例:無料ユーザーは「1日あたり3ファイルまで」等の制限がアナウンスされている | ◯ 利用可能(制限はあるが無料版より緩和) 例:「3時間あたり最大80ファイル」との利用制限など | ◯ 利用可能(基本的にPlus相当機能+企業向け管理機能) |
1ファイルあたりのサイズ上限 | 512MB(全プラン共通) | 512MB(全プラン共通) | 512MB(全プラン共通) |
トークン上限(テキスト/ドキュメント) | 2Mトークン/ファイル(全プラン共通) ※スプレッドシートには適用外 | 2Mトークン/ファイル(全プラン共通) ※スプレッドシートには適用外 | 2Mトークン/ファイル(全プラン共通) 契約により柔軟化の場合あり |
スプレッドシート(CSV/XLSX)サイズ上限 | ~50MB/ファイル(全プラン共通) | ~50MB/ファイル(全プラン共通) | ~50MB/ファイル(全プラン共通) |
画像ファイルの上限 | 1画像あたり20MB(全プラン共通) | 1画像あたり20MB(全プラン共通) | 1画像あたり20MB(全プラン共通) |
アップロード可能ファイル数の例 | – 1日あたり3ファイル前後の制限(無料ユーザー向け最新アナウンス例) (※状況により変動・制限強化の可能性あり) | – GPT-4oモデル利用時などは「3時間あたり80ファイル」程度まで可能 – カスタムGPT(GPT Builder)の場合はGPT1つあたり最大20ファイル | – Plus相当以上のファイル数や容量上限 (組織契約に応じてさらに拡張・変更可能) |
合計使用容量上限(ユーザー / 組織) | ユーザーあたり10GB 組織あたり100GB | ユーザーあたり10GB 組織あたり100GB | ユーザーあたり10GB〜 組織あたり100GB〜(契約内容で拡張の場合あり) |
Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter) | 無料プランでは基本的に使えない (一部モデルや時期によっては試験的に解放される場合も) | ◯ 利用可能(アップロードした文書をPythonなどで分析、集計・可視化・要約) | ◯ 利用可能(セキュリティ強化の企業向け設定あり) |
料金目安 | 無料 | 月額20USD(参考価格) ※ドル建て課金 | 契約内容により異なる |
主な特徴 | – まずは手軽にChatGPTを試したい個人向け – ファイルアップロードは制限が厳しい – リアルタイムWeb検索や高度分析は基本的に不可 | – PDF・Office系など各種ドキュメントを一括要約・分析 – Code Interpreter/Advanced Data Analysisで表・グラフも生成可能 | – 大規模チーム・組織向けにセキュリティ/データ管理を強化 – カスタムGPTや管理機能をフル活用できる |
注意点 | – 機密情報は入力前にマスキング必須 – ファイルアップロード数/日が非常に限定的 – 最新アナウンスで制限が随時変化する可能性 | – 512MBや20ファイル上限などの仕様を把握したうえで分割アップロードが必要 – AIの誤答を想定し、人間のチェックが欠かせない | – 大規模利用時のファイル容量管理や情報漏洩防止策が重要 – 契約に応じてデータ保持期間や利用方針が異なる場合がある |
プロローグ
金曜の午後、五時を回ったオフィスの窓に夕陽が差し込んでいた。佐藤ミライは大学を卒業して三ヶ月、IT企業「☆☆株式会社」の新人社員だ。デスクで頭を抱えるミライの姿を見て、先輩の山田ケンイチが声をかけた。
「どうした?まだ帰らないのか?」
「山田さん…この資料、来週のプレゼンまでにまとめないといけないんですけど、量が多すぎて…」ミライは山積みになったPDFファイルとExcelデータを指さした。
ケンイチは微笑んで椅子を引き寄せた。「そういうときこそ、最新のAIツールを使いこなす時代だよ。ChatGPTのファイルアップロード機能、知ってるか?」
「え?ChatGPTって、ただチャットするだけじゃ…」
「それが違うんだ。去年からファイルを直接読み込ませる機能が実装されてね、PDF、Word、Excel、そういったファイルを丸ごと解析できるようになったんだ。僕らの部署でも導入して、作業効率がかなり上がったよ」
ミライの目が輝いた。「本当ですか?それ、教えてもらえますか?」
「いいよ。じゃあ、今から『AIの賢者』と呼ばれているうちの部長を紹介しよう。彼女ならChatGPTの達人だからね」
そう言って、ケンイチはミライを連れて、技術開発部のある別フロアへと向かった。
第1章:魔法の箱との出会い
「お邪魔します」
技術開発部のドアを開けると、広々としたスペースに最新のデスクが並んでいた。奥の個室から現れたのは、凛とした雰囲気の女性だった。
「あ、北島部長。ちょうどいいところに。新人の佐藤を連れてきました。ChatGPTのファイルアップロード機能について教えてあげてもらえませんか?」
北島リサ部長は優しく微笑んだ。「あら、佐藤さん。ようこそ技術開発部へ。ChatGPTに興味があるの?」
「はい!実は来週のプレゼン資料作りで大量のPDFとExcelデータを分析しないといけなくて…」
「なるほど。それなら確かにChatGPTのファイルアップロード機能が役立つわね」リサはミライを自分のデスクに招き入れた。大きなモニター画面にはChatGPTの画面が開かれていた。
「ChatGPTというと、単にテキストで質問して答えをもらうイメージがあるでしょう?」
ミライはうなずいた。
「でも実は、これは『魔法の箱』のような存在なの。あなたがどんなファイルを入れても、その内容を理解して、あなたの質問に答えてくれるの」
リサはマウスを操作しながら説明を続けた。「この左にある+アイコンを見て。ここからファイルをアップロードできるわ。PDF、Word、Excel、PowerPointなど、ビジネスでよく使うファイル形式のほとんどに対応しているの。もちろんドラッグ&ドロップででもできる」

「すごい…」
「もともとはCode InterpreterやAdvanced Data Analysisと呼ばれていた機能が発展したものよ。以前は文章の要約だけだったけど、今では複数のファイルを比較したり、データを分析してグラフを作ったりもできるわ」
ミライは食い入るように画面を見ていた。リサは50ページほどのPDFファイルをChatGPTへドラッグ&ドロップした。
「例えば、このマーケティングレポートを見て。『このPDFの主要な結論と、特に重要なデータポイントを3つ抽出してください』と指示すれば…」
数秒後、ChatGPTは50ページのPDFを要約し、ポイントを的確にまとめた回答を表示した。
「信じられない…手作業だと何時間もかかる作業が、数秒で…」
「それだけじゃないわ」リサは今度はExcelファイルをアップロードした。「このデータの傾向を分析して、グラフ化してみて」と入力すると、ChatGPTは瞬時に分析を始め、売上推移のグラフまで生成した。
「これは革命的ですね!」ミライは感嘆の声を上げた。
リサは笑いながら言った。「そうね。これはビジネスの風景を変える魔法のような技術よ。でも、魔法にも使い方とルールがあるように、この機能にも制限や注意点があるの。それも含めて、きちんと理解していきましょう」
ミライの目は興奮で輝いていた。ChatGPTという「魔法の箱」との出会いが、彼の仕事の方法を変えようとしていた。
第2章:魔法の箱の使い方と限界
週末が過ぎ、月曜の朝。ミライは早めに出社し、北島部長から教わったファイルアップロード機能を試そうとしていた。そこへケンイチがコーヒーを持って現れた。
「おはよう。早いね。もう試してるの?」
「はい!北島さんから教わったばかりで…」
ケンイチはミライの隣に座った。「じゃあ、ちょっと深掘りしてみようか。この『魔法の箱』にも限界があるからね」
「限界…ですか?」
「そう。まずは、どんなファイルが使えるのか、サイズ制限は何か、知っておいた方がいいことがあるんだ」
ケンイチはホワイトボードに図を描き始めた。
「まず、対応しているファイル形式だけど、基本的にはビジネスでよく使うものはほとんどOKだよ。テキストファイル、PDF、Office系(Word、Excel、PowerPoint)、画像ファイルとかね」
ファイルの種類 | 代表的な拡張子 | 主な解析・利用例 |
---|---|---|
テキストファイル | .txt | – 単純な文字列の読み込み – セリフやログの要約・要点抽出 |
オフィス文書(Word系) | .docx .doc (一部サポートされない場合有) | – レポートや契約書など文章メインのファイル解析 – 文書全体の要約や校正、キーワード抽出 |
スプレッドシート | .xlsx .csv .tsv | – 数値データの集計やグラフ作成 – 統計量の計算 (平均値、分散など) – 大量データの可視化やトレンド分析 |
プレゼンテーション | .pptx .ppt (一部サポートされない場合有) | – スライド内容の要約・構成の改善提案 – 箇条書きや見出しの整理(埋め込み画像や図表は現時点でテキスト扱いされない場合が多い) |
.pdf | – 論文・契約書・ホワイトペーパーなど – 要点抜き出しや章ごとのサマリー作成 – 複数PDFの差分比較 | |
画像ファイル | .png , .jpg , .jpeg , .bmp , .gif など | – 画像内テキストの読み取り – グラフや表が含まれる場合は部分的に解析可(埋め込み画像は一部機能制限あり) |
その他 (一部対応) | .md .xml .json etc. | – マークダウンや設定ファイルの内容解析 – XML/JSON形式の情報構造要約や変換 |
補足
- ChatGPTへのファイルアップロードは、プランやモデル、最新仕様によって制限やサポート範囲が変化する可能性があります。
.doc
/.ppt
など旧形式のオフィスファイルは、うまく読み込めないケースもあるため、必要に応じて.docx
/.pptx
へ変換して利用するのがおすすめです。- PDFやプレゼン資料に埋め込まれた画像は、現時点ではテキスト化できない部分が多く、あくまで文字情報の抽出・解析が主体です。
「それだけあれば、ほとんどのビジネス文書は対応できますね!」
「そうだね。ただし、ファイルサイズには制限がある。1ファイルあたり最大512MBまでだ。例えば、何百ページもあるPDFや、大量の画像が入ったファイルだと、この上限を超えることがあるから注意が必要」
「512MB…なるほど」
「さらに、一つのチャットセッションでアップロードできるファイル数は20個までという制限もあるんだ。それと、テキスト内容のトークン数も200万トークンまでという上限がある」
ミライはメモを取りながら質問した。「トークンって何ですか?」
「簡単に言うと、言語モデルが処理する言葉の単位だね。英語なら大体1単語で1~2トークン、日本語だと1文字あたり1~3トークンくらいかな。つまり、非常に長い文書だと、途中で切れてしまう可能性があるってことだよ」
「なるほど…」
「それから、ユーザーごとの総使用量も制限されていて、一人あたり10GB、組織全体で100GBという上限があるんだ」
「けっこう厳しい制限ですね…」
「でも普通に使う分には十分だよ。問題なのは、どういうファイルがうまく処理できて、どういうのが苦手なのかを知っておくこと」ケンイチは続けた。
「例えば、PDFでも画像として保存されたものや複雑なレイアウトのものは、テキスト抽出がうまくいかないことがある。また、Excelでも非常に複雑な数式や特殊な関数を使ったものは完全には理解できないかもしれない」
「じゃあ、事前に確認した方がいいんですね」
「そうだね。あと、もう一つ重要な注意点がある。それは…」
その時、リサが部屋に入ってきた。「おはよう。ChatGPTの話をしているみたいね」
「はい。ケンイチさんから制限や注意点を教えてもらっています」
リサは真剣な表情になった。「それなら、最も重要な注意点も忘れないでね。それは個人情報や機密情報の扱いよ」
「どういうことですか?」
「ChatGPTにアップロードしたファイルは、プランによっては学習データとして利用される可能性があるの。Free版やPlus版では、デフォルトではあなたのデータが学習に使われる設定になっているわ」
ケンイチが補足した。「つまり、個人情報や企業の機密情報をそのままアップロードするのは危険ということだね」
「そういうことよ」リサは頷いた。「当社ではEnterprise版を使っているから、設定でデータが学習に使われないようになっているけど、個人アカウントでファイルをアップロードする前にはオプトアウト設定の確認、必要に応じて個人情報や機密情報を削除するか匿名化するのがいいわ」
「なるほど…」ミライは考え込んだ。
「でも心配しないで」リサは明るく言った。「これらの制限や注意点を理解して使えば、ChatGPTのファイルアップロード機能は強力な味方になるわ。来週のプレゼン資料も、きっとうまくまとめられるはずよ」
「ありがとうございます!」ミライは元気よく答えた。「魔法の箱」には使い方があることを学び、これから自分のプロジェクトに活かす決意を固めた。
第3章:魔法の箱の実践冒険
水曜日、ミライはカフェテリアでランチをとっていた。そこへマーケティング部の同期入社の鈴木ユミが駆け寄ってきた。
「ミライ!助けて!来週のクライアントプレゼンの準備が全然終わらないの。資料がたくさんあって…」
「それなら、任せて」ミライは自信を持って言った。「実は最近、すごいものを教わったんだ」
会議室に移動し、ミライはプレゼン資料を見せてもらった。製品アンケート結果のPDF、市場動向の調査レポート、そして売上データが入ったExcelファイル。
「これを全部手作業で分析するとなると、数日かかりそうだね…」
「そうなのよ。しかもあさってまでに方向性を決めないと…」
「大丈夫。『魔法の箱』の出番だよ」ミライはChatGPTを開き、ファイルをアップロードし始めた。
「まず、基本的な操作から説明するね。ChatGPTを開いて、このプラスアイコンをクリックすると…」
ユミは驚いた表情で見ていた。「え?ファイルをアップロードできるの?」
「そうなんだ。PDF、Excel、PowerPointなどのファイルを直接読み込ませることができるんだよ」
ミライはアンケート結果のPDFをアップロードし、「このアンケート結果の主な傾向と、特に注目すべき顧客の声を5つ抽出してください」と入力した。
数秒後、ChatGPTは詳細な分析結果を表示。複数ページにわたるPDFから重要なポイントを的確に抽出していた。
「信じられない!」ユミは感嘆の声を上げた。「これ、どうやってるの?」
「すごいでしょう?次は市場調査レポートと売上データを一緒に分析してみよう」
ミライは残りのファイルもアップロードし、「市場調査レポートと売上データを比較分析し、成長機会が見込める市場セグメントを特定してください。また、その根拠となるデータポイントも示してください」とプロンプトを入力した。
ChatGPTは両方のファイルを分析し、成長が見込める市場セグメントとその根拠を詳細にまとめ、さらには簡単なグラフまで生成した。
「これは…革命的だわ!」ユミの目は輝いていた。
「でも、いくつか注意点があるよ」ミライは真剣な表情で言った。「まず、アップロードするファイルに個人情報や機密情報が含まれている場合はオプトアウトの設定を確認すること。それから、ChatGPTの回答はあくまで参考にして、最終的には人間がチェックすることが重要だよ」
「どういうこと?」
「AIも間違えることがあるから。例えば、レポートの引用元を取り違えたり、数値を少し誤解したりすることもある。だから、重要な成果物には必ず人間の目でのチェックが必要なんだ」
ユミはメモを取りながら頷いた。「わかった。でも、これだけで作業時間が大幅に短縮できそう!」
「そうだね。あとは、具体的なプロンプトの書き方も重要だよ。例えば…」
その瞬間、会議室のドアが開き、マーケティング部長の田中が顔を出した。
「ユミ、プレゼン資料の進捗はどうだ?」
「あ、部長!今、分析をまとめているところです。実は佐藤くんが新しいツールを教えてくれて…」
田中部長は二人の画面を覗き込んだ。「ほう、ChatGPTでファイル分析をしているのか。なかなか先進的だな」
「ご存知だったんですか?」ミライは驚いた。
「もちろん。うちの会社では先月からEnterprise版の導入を始めたところだ。ただ、使いこなせている部署はまだ少ない。君たち、良い取り組みをしているね」
ユミは嬉しそうに言った。「部長、このツールを使って、予定より早くプレゼン資料をまとめられそうです!」
「それは頼もしい。ただし、最終的な判断や戦略提案は人間の仕事だということを忘れずにな」
「はい!」二人は声を揃えた。
田中部長が去った後、ミライとユミは夕方まで作業を続けた。アンケート結果の分析、市場調査との比較、そして売上予測まで、通常なら数日かかる作業をわずか数時間でまとめ上げたのだった。
「ありがとう、ミライ!」帰り際、ユミは感謝の言葉を述べた。「この『魔法の箱』、本当に仕事を変えてくれそう」
「うん、でも魔法の本当の力は、それを使う人の知恵にあるんだよ」ミライは笑顔で答えた。
第4章:魔法の箱の多様な使い道
週末、ミライは北島リサ部長から突然連絡を受けた。
「明日、ちょっと時間ある?うちの技術開発部で小さなワークショップをするんだけど、ChatGPTのファイルアップロード機能について、あなたの実体験を他の部署の人に共有してほしいの」
「え?僕が…?」
「ええ。初心者の視点で説明してくれると、みんなも理解しやすいと思うのよ」
翌日の日曜日、技術開発部の大会議室には約20人の社員が集まっていた。営業、人事、研究開発など、様々な部署からの参加者だった。
リサが前に立った。「今日は『ChatGPTファイルアップロード機能の実践活用』というテーマでワークショップを行います。最初に、入社したばかりの佐藤くんから、実際の使用体験を共有してもらいましょう」
緊張しながらも、ミライは前に立った。「こんにちは、佐藤ミライです。僕は先週、初めてChatGPTのファイルアップロード機能を使いました。最初は単なるチャットボットだと思っていたんですが、今では『魔法の箱』と呼んでいます」
会場から笑い声が上がった。
「この機能は様々な部署で活用できると思います。例えば…」
ミライはスライドを使いながら、各部署での具体的な活用例を紹介した。
「営業部門では:契約書や利用規約をアップロードして、重要なリスク条項のみを抽出したり、改訂ポイントを要約したりできます。新人営業マンも、複雑な契約書の概要をすぐに把握できるようになります」
「人事部門では:採用面接の議事録や従業員アンケートを分析して、傾向や改善点を抽出できます。また、トレーニング資料の作成や要約も効率化できます」
「研究開発部門では:研究論文や技術資料を複数アップロードして、共通点や違いを比較したり、新しいアイデアのヒントを得たりできます」
話を続けるうちに、参加者たちは積極的に質問し始めた。
「具体的にどうやって複数のファイルを比較するの?」
「プロンプトの書き方のコツは?」
「大きなファイルの場合はどうする?」
ミライは自分の経験を基に丁寧に答えていった。そして最後に、効果的な使い方のポイントをまとめた。
「ファイルをアップロードする前に、目的を明確にしておくことが大切です。『このファイルから何を知りたいのか』という問いを具体的に考えましょう。また、複雑な質問は一度に投げるのではなく、段階的に質問することで、より正確な回答が得られます」
リサは満足げにうなずき、続けて言った。「佐藤くんが言ったように、ファイルアップロード機能は私たちの働き方を変える可能性を秘めています。ただ、AIの限界も理解しておくことが大切です」
リサはスライドを切り替えて、注意点を説明した。
「まず、セキュリティとプライバシーの問題です。機密文書や個人情報を含むファイルは、アップロード前に匿名化するか、Team版やEnterprise版など安全な環境で使用しましょう」
「次に、AIの回答も100%正確ではないという点です。特に数値データや引用の際は、人間がダブルチェックすることが重要です」
「最後に、AIはあくまでツールであり、最終的な判断や創造性は人間にしかできないということを忘れないでください」
ワークショップは予定の時間を超えて続き、参加者たちは熱心にメモを取り、実際にスマートフォンやノートPCでChatGPTを試す姿も見られた。
終了後、営業部の高橋さんがミライに声をかけた。「佐藤くん、素晴らしいプレゼンだったよ。実は来週、大きな顧客との契約更新があるんだけど、過去の契約書との変更点を分析するのにこの機能を使えそうだね」
「はい、きっと役立つと思います!」
研究開発部の鈴木博士も加わった。「私も論文レビューに活用してみようと思います。毎週何十本も読まなければならないので、要約機能は救世主になりそうです」
リサは嬉しそうにミライの肩を叩いた。「見てごらん。あなたのおかげで、会社全体にこの技術が広がろうとしているわ」
ミライは照れくさそうに笑った。「僕はただ、教えてもらったことを共有しただけです」
「いいえ、あなたは『魔法の箱』の可能性を皆に示したのよ。これからもっと多くの『魔法』が生まれるわ」
その日、帰り際にミライは思った。技術そのものは素晴らしいけれど、それを理解し、適切に使い、他の人と共有することこそが本当の価値なのだと。
第5章:魔法の箱の未来
翌週、ミライのプレゼンは大成功を収めた。ChatGPTのファイルアップロード機能を使って作成した資料は、データに基づく明確な提案と洞察に満ちていた。上司からの評価も上々だった。
一ヶ月後、社内では「AIアシスタント活用推進プロジェクト」が立ち上がり、ミライも参加することになった。プロジェクトの初会合は、会社の大会議室で開かれた。
北島リサが司会を務めた。「皆さん、今日はこのプロジェクトの方向性とAI技術の未来について話し合いましょう。各部署からの代表者に加え、特別ゲストとして、AI研究の第一人者である内田教授にもお越しいただいています」
内田教授は白髪の温和な笑顔の老紳士だった。「皆さん、こんにちは。今日は未来の働き方についてお話しできることを楽しみにしています」
会議が進む中、各部署からChatGPTファイルアップロード機能の活用事例が報告された。
営業部からは契約書分析による交渉の効率化、人事部からは採用プロセスの改善、研究開発部からは特許文書の比較分析など、様々な成功例が共有された。
そしてミライの番になった。「私からは、今後の可能性についてお話ししたいと思います」
彼はスライドを表示した。「現在のファイルアップロード機能は素晴らしいですが、まだ進化の途上です。例えば、PDFやスライド内の画像認識はこれからさらに向上するでしょう。また、より多くのファイル形式や、より大きなサイズのファイルにも対応していくと予想されます」
ミライは続けた。「さらに、企業の内部知識ベースと連携することで、より正確で文脈に沿った回答が得られるようになるでしょう。例えば、自社の製品マニュアルや過去の案件資料をすべて読み込ませたチャットボットが、新入社員の教育や顧客サポートを担当することも可能になります」
内田教授は感心した様子でうなずいた。「佐藤さん、素晴らしい洞察です。実際、次世代のAIシステムでは『RAG』と呼ばれる技術が重要になってきます。Retrieval Augmented Generationの略で、大規模言語モデルと特定の知識ベースを組み合わせる技術です」
リサが質問した。「それは具体的にどういった進化をもたらすのでしょうか?」
「例えば」教授は説明した。「今のChatGPTでファイルをアップロードすると、そのセッション内だけでファイルの情報が利用できます。しかし将来的には、企業の全ドキュメントを恒久的に接続し、常に最新情報を反映した回答が得られるようになるでしょう。社内の誰もが、膨大な組織知をAIを通じて瞬時にアクセスできるのです」
「それは素晴らしいですね!」ミライは興奮した様子で言った。
教授は続けた。「さらに、デスクトップアシスタントのような形で、あなたのPC環境と密接に連携するAIも登場するでしょう。例えば、あなたが考えている企画に関連する過去の資料を自動で探し出し、要約してくれるようなものです」
会議は予定時間を大幅に超えて続き、参加者たちは熱心に未来について議論していた。
終了後、内田教授はミライに声をかけた。「佐藤さん、あなたのような若手がAI技術を実務に落とし込む視点を持っているのは素晴らしいことです。技術だけでなく、人間とAIの協働の在り方を考えることが、これからはますます重要になります」
「ありがとうございます。私はまだ始まったばかりですが、この『魔法の箱』の可能性を多くの人に伝えていきたいです」
リサが二人に加わった。「ミライ、覚えてる?一ヶ月前、あなたは大量の資料に頭を抱えていたわ。今では会社でAI活用のリーダーになりつつあるのよ」
「本当にそうですね…」ミライは少し照れながらも、誇らしげに言った。「でも、これはまだ始まりにすぎないと思います。AIと人間が協力して、もっと創造的な未来を作っていきたいです」
窓の外では、夕暮れの空が美しく輝いていた。技術の進化と人間の知恵が融合する新しい時代の幕開けを、三人は静かに感じていた。
エピローグ
それから半年後、☆☆社では「AIアシスタント導入ガイドライン」が正式に発表され、全社員がChatGPTのファイルアップロード機能を含むAIツールの基礎トレーニングを受けるようになった。
ミライは「AI活用推進室」の一員として、各部署のAI導入支援を担当するようになっていた。彼のデスクには「魔法の先生」と書かれた小さな名札が置かれている。同僚たちからのプレゼントだ。
ある日、新入社員の山下アキラがミライのもとを訪れた。
「佐藤先輩、相談があるんです。このマーケティングレポート、どうしても要点が整理できなくて…」
ミライは微笑んだ。「そういうときは、『魔法の箱』の出番だね」
「魔法の箱…ですか?」
「うん。今から素晴らしい冒険の始まりだよ」
ミライはパソコンを開き、ChatGPTの画面を表示した。そして、かつて自分が北島リサから教わったように、山下に「魔法の箱」の使い方を教え始めたのだった。
技術は進化し続けるが、それを理解し、活かし、そして次の世代に伝えていくことこそが、真の魔法なのかもしれない——ミライはそう思いながら、若き後輩に微笑みかけた。
終わり